対談/vol.7
しょくスポ対談vol.7 三矢 八千代 さん今回のゲストは、(社)日本エアロビック連盟理事であり、日本エアロビック界の先駆者である三矢八千代先生です。三矢先生は、私こばたと共に食と運動の大切さ・楽しさを体感できる『食育ビクス』を開発して下さったり、また、11月に開催しました食育アドベンチャー®指導者セミナーでも講師を務めてくださいました。そんな三矢先生に、エアロビクスに対する想いや夢を熱く語っていただきました!ぜひご覧ください。
一人でも多くの方にエアロビクスを-三矢先生のお仕事内容は、具体的にはどのようなものですか?
エアロビクスというフィットネスが中心で、スタジオの経営やスタジオプロデュース、インストラクターを養成するスクール運営、また養成したインストラクター達を派遣する仕事です。あと、大学でも授業を持っています。-様々な活動を行ってらっしゃいますね。その中で一番好きなものは何ですか?
やはりインストラクターとして現場でエアロビクスを指導することですね。-確か、三矢先生の運動プログラムをまとめたDVDを現在販売していますよね?
-でも日本のテレビ番組はフィットネス番組が少ないですよね。
そうですね。今の日本人にはフィットネス番組は楽しいと思います。東京とか大都市に比べ、地方はスポーツクラブが少ないですし。早くテレビ番組になると良いですね。
違う形で表現されたエアロビクスエアロビクスは『敷居が高いもの』というイメージが多くの方の中にあるようです。 -そうかもしれません。
エアロビクスをやったことがない方には大体、「私には無理」と言われてしまいます。でもそれは先行く私達インストラクターがそういう状況にしてしまったと思います。なのでどこかで方向修正しなければいけないと思っています。-“方向修正”とは?
-そうなんですか・・・。
大都市ではそうなんです。今のフィットネスの第一条件は立地条件です。場所さえよければ人は集まる。ですから最近のフィットネスクラブは駅の中にもできています。指導者の力が問われる訳ではないようです。あと今、フィットネスクラブって、好立地な場所に多くありますよね。 ベテランの指導者が少ない時代現在、インストラクターの数が足りない時代ですから、当然ベテランの指導者も減っています。 -それは問題ですね。でもインストラクターの養成というのは、いろいろなところでされているのですよね?
大手のフィットネスクラブなどで養成しています。ですが、たくさんの問題があり、なかなかインストラクターが育ちません。-それはなぜですか?
養成する側の考え方に問題があると思います。一人の指導者を育てるのに必要な時間、内容、そして指導する先生の技量が大きく関わると思います。
フィットネス業界を良くするために-三矢先生のところで行っている養成システムを、今後他のところで広く始めたりはしないのですか?
はい、あります。インストラクターを育てる際に最も重要な事は、その内容、つまりカリキュラムにあると思います。ですから、そのカリキュラムを中心としたメソッドを基礎に、関東エリアだけでなく全国に広げたいと思っています。インストラクターの養成・研修・管理までを行うメソッドを持っていますので、養成が必要なフィットネスクラブがあれば是非声を掛けて頂ければと思います。
-確かにそうかもしれません。
エアロビクスのプログラムは、実に奥が深いですから。豊富な知識も必要です。一人前になるのに時間もかかります。健康づくりの為に指導しているはずが、知識不足でケガ人を作ってしまうこともあります。
エアロビクスの魅力-私自身、以前三矢先生のレッスンを受けた時、すごく楽しかったんです。三矢先生もエアロビクスの楽しさを体感して、だんだん魅力に引き込まれていったのですか?
私は、日本体育大学で器械体操部でした。その頃は、強くなる為には“根性・努力・忍耐”と言われていた時代です。当然、化粧やネイル、髪型など気にしては強くなれないと教わりました。ですが、大学卒業後に出会ったエアロビクスの先生は、美しく鍛えた体と笑顔、そして誰にも負けない体力。この先生に会った時は今までのトレーニングは一体何だったのだろうと、カルチャーショックになってしまいました。私はこの時、エアロビクスのインストラクターになりたいと思っていたわけではなかったのですが、すぐに決心しました。絶対この仕事に就きたい、この人の様になりたい、この気持ちから私のインストラクター人生が始まり、早や27年目になりました。今もなお、その情熱は少しも変わっていません。実に素晴らしい仕事だと思っています。エアロビクスの指導者としての楽しさと充実感を知れば、誰もがなりたくなると思います。
スタートラインに立ってから-栄養士もそうなのですけど、資格はあくまでもスタートラインですよね。
そうですね。ですが皆さん資格を取るとこれでいいと思ってしまうようです。ところが資格はやっとスタートラインなのです。これからやろうとすることが少し見えてきただけです。ここからが本当の勉強、その一つ一つが知識となり、次の目標が見えてくるのです。ですからなかなかゴールが見えません。プロの道ですからね。-確かにそうですね。
本当はゴールなどないのかも知れませんね。人を相手にする仕事ですから、いつまでもゴールは見えません。
『栄養・運動・休養』-三矢先生はインストラクターを養成する際、カリキュラムの中で運動生理学や、栄養についても触れるとのことですが。
何はともあれ、運動がどうのとか言う前に、食がなければ何にも成立しないと思っています。まずは食ありき。食がきっちりしていることで次の運動が功を奏する、そんな風に考えています。だから3原則で、食・運動・休息。食は徹底的に教育しないと大きく間違っていくことが多いですからね。私は食の専門家ではないから、それをつきつめていくと、食の専門家に意見を聞かないといけないレベルになってしまいますが、往々にして、フィットネス、スポーツクラブに来る「健康になりたい」という方達には、私たちの分かる範疇で「ちゃんと食べる」という原則だけは伝えていかないと、と思っています。例えば運動をしに来た人が「今日食事をしてこなかった」と言ったら、「今日は運動するレベルではないのでストレッチでもして帰りなさい」と言います。
-それが言える指導者の方ってすごく少ないと思います。
少ないですよね。-よく私たちの間で話が出るんですが、スポーツ指導者の方は先ほどの3要素の順番としては、【運動、栄養、休養】の順番、栄養に関わる人は【栄養、運動、休養】の順番で言うといわれているんです。
運動は難しくない-栄養士の人は、食事は力を入れますけど、運動はちょっと・・・といって、運動をされない方もいるんです。私はそこを改善したいと思っています。
私はつくづく思うのですが、人はいつ頃から運動嫌いになってしまうのでしょうか。大人になって運動好きな人は意外と少なく、苦手だという人がほとんどの様な気がします。そこで声を大にして言いたい。“運動は難しくない”と。
良いものを伝えるために-その他の夢はありますか?
情熱と人づくり-それでは、三矢先生にとって、仕事を極める上で大切なことは何ですか?
私の仕事を極めるということは、2つあります。私自身の指導者としての技量を伸ばすこと。そしてもう一つは、良い指導者を育てることです。つまり「人づくり」ですね。
-「人づくり」には大変な労力がいるのではないですか?
そうですね。人づくりは、とても大変ですよ。25年も指導者の養成に関わっていますが、なかなか思う様にいきません。人を育てるテクニックはあると思いますが、信頼関係、愛情みたいなものを育てることがまずは一番大変であり、重要なことです。この2つがあれば後は情熱ですから。
―でもきっとこれまで、涙あり笑いありで人づくりや、自分を磨き上げてきたと思います。だからこそ今の三矢先生があるんですよね。
そうかもしれません。人に教わり叩かれ、反省の日々ですよ。自分を反省することも、この人づくりの中で教わりました。ともかく、人からたくさんのものを頂きました。その頂いたものを大切に、相手にも何かあげたい、そんな気持ちで今日まで来ました。イエス・ノーもはっきり言える信念も見つけることが出来ました。 -わたしはそのはっきりとした三矢先生がとても好きです。これからも三矢先生らしい道を進んでいってくださいね!
ありがとう!
-こちらこそ、本当にありがとうございました!
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三矢先生も講師としてご出演くださった食育指導者向けセミナー「食育アドベンチャー®ワークショップ」を、2007年11月17日(土)に開催致しました。三矢先生からは、「食育ビクス」指導や、指導者としての心構え、そして身体を動かす楽しさをどのように消費者に伝えるかをレクチャーして頂きました。会場も盛り上がり、とても素晴らしいセミナーとなりました! セミナーご報告ページはこちらをご覧下さい↓ 食育アドベンチャー®ワークショップ 2007年11月17日(土)開催 |